大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和27(あ)5438 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人水野東太郎、同芳賀繁蔵、同宮崎繁樹の上告趣意第一点及び第二点につい

論旨は、総て事実誤認若しくは単なる訴訟法違反の主張で、いずれも刑訴四〇五

条の上告理由に当らない。しかも記録に基き、第一審判決の事実認定並びに原判決

の説示の正否につき仔細に検討するに、第一審判決が、判示第一の上井草の強姦致

傷事件につき証拠として挙示する、被告人の裁判官木戸悌次郎に対する陳述調書及

び被告人の検事屋代春雄に対する供述調書並びに判示第二の大泉の強姦致死事件に

ついての証拠たる被告人の検事岡崎格に対する供述調書及び被告人の検事屋代春雄

に対する供述調書が所論の如く、強制か誘導による不任意の自白を記載したものと

認むべき形跡は全然なく、却つて取調前後の情況、調書の記載内容等に徴し、被告

人の右の如き自白は、全く任意になされたものと認めることができる。従つて第一

審判決並びに原判決には所論第一点主張の如き訴訟法違反はない。そして第一審判

決は、証拠として、右自白の外、判示第一事実につき証人Aの供述記載、同人の検

事に対する供述調書、司法警察員作成の実況見分調書、医師の診断書を、判示第二

事実につき司法警察員作成の検証調書、鑑定書を掲げているのであつて、これらの

証拠を前記自白と対照しつゝ逐一検討するに、これらの証拠はそれぞれ右自白に符

合し、被告人の自白が真実であることを裏書き補強するに十分である。これに反し

所論第二点主張の如き被告人のアリバイの立証等被告人に有利な証拠を採用しなか

つた第一審の措置を不法と認むべき根拠はない。してみれば判示第一及び第二の犯

罪事実の犯人を被告人と認定した第一審判決並びにこれを是認した原判決の説示は

総て正当と認むべきであるから、所論第一点及び第二点はいずれも採用するを得な

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い。

被告人本人の上告趣意について

所論は結局、本件事犯は被告人の犯したものでないというにあつて、事実誤認の

主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。しかも弁護人の上告論旨に対し

説示したとおり、第一審判決挙示の証拠に照し、適法に本件犯罪事実を被告人の所

為として認定することができるのであるから所論は採用できない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和二八年九月三〇日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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